private room

日記だったりひとり言だったりその日の気分次第です

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雨に濡れた靴

駅から歩いて1キロ

「雨だしバスもないしタクシーでもいいんじゃないですか?」

僕がそう言うと 叔母は

「運動になるから歩こう 最近肩も凝るのよ」って

小降りだから まぁいいかと思ったものの

カバンが濡れるし コートもクリーニングになるな と・・・

ちょうど半分くらいの所に 大きな公園がある

先週は そこから毛布を被った人が出てきた

駅前で たまに見かけるけどホームレスの人

そんなこと思い出してたら

「どこまでですか?病院までなら一緒に行けますよ」と叔母の声

その向こうに雨よけのつもりか ダッフルコートのフードをかぶった小柄な人の姿

確かに僕の視界にも入ってたが

チラっと見た瞬間に 僕の脳は公園の人かと思ったようだ

前かがみで 黒っぽいコートでとぼとぼ歩いてたから

叔母が声をかけたことにも驚いたが

相手が 「卒業式なんです」と言ったのにも驚いた

フードをはずして傘に入れてもらった姿は 髪の長い少女だった

女子高生なんだろうけど 制服じゃないし 足元も今風ではない

「定時制なんです 1年留年して5年かかりました 今日は少し遅れたので傘を忘れて・・・」

叔母と彼女の会話が 小さな声だけど聞こえてきた

病院の隣に高校があるから ということで

叔母はその少女を傘に入れたまま道を曲がった

取り残された僕は1人病院へ・・・


病室までのエレベーターの中で考えた

雨の中 濡れている人を見かけることはある

でも 誰かに傘をさしかけたことはない

声をかけるのって勇気がいることだから?

違うな

見てるけど見えてないだけ 見えないフリをしてるだけ

雨に濡れた人だけじゃない

どんな場面でも同じ

傍観者

いつだって どこだってそう

手をさしのべること 声をかけること

その時の相手の反応を考えてしまう

自分が相手にどう思われているかとか 断られたらどうしようかとか

見知らぬ人が相手でもそれだから

身近な人だと もっとそう

何でも流せるといいんだけれど

心に澱(おり)になって残る

黒くてよどんだそれが 時々表面に浮かんできて

僕の笑顔は いつもどこか嘘くさくなってしまう


病室に来た叔母に 傘をさしかけた理由は聞いてない

きっと理由などないのだ

困った人がいたから ただそれだけ

自分がそれを出来ないことを知られたくなくて

その風景も見なかったことにしたのは

現実のリセットに慣れてしまったダメな僕

| 僕の話 | 12:25 | comments:0 | TOP↑

コメントありがとう (`・ω・´)ノシ












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